食品工場の本部長が、AIを「右腕」にした最初の2週間|IT素人が業務の土台をつくるまで

正直に言います。私は報連相、とくに「横展開」が苦手です。

ある工場で決まったことを、他の工場の責任者に伝える。経営陣と話して決まったことを、部下や他部門に下ろす。頭では分かっているのに、毎日の現場対応に追われているうちに、気づけば抜けている。

本部長という立場で3つの工場を見ていると、一日に決まること、頼まれること、考えなければいけないことが本当に多い。手帳もメモも使ってきましたが、「書いたことを見返さない」という一番の弱点はどうにもなりませんでした。

そこで今年の秋、AIを本気で「右腕」にしてみることにしました。

結論から言うと、業務の土台ができるまで2週間かかりませんでした。今日は、ITに詳しくない製造の人間が、何をどう任せたのかを書いてみます。

最初にやったのは「目的」を伝えること

いきなり「スケジュール管理して」とは頼みませんでした。最初にAIに伝えたのは、一緒に仕事を回す目的です。

✅ 自分がやるべきことを見失わない
✅ 本部長としての「型」をつくる
✅ 次の本部長が、自分の動きを再現できるようにする
✅ 全社の記録を、分析できる形で残す
✅ 部下と自分が成長する

部下に仕事を頼むときと同じで、目的を伝えないまま作業だけ渡すと、言われたことしかやってくれません。AIも同じでした。目的を先に渡したことで、「これ、やらなくていいんですか?」という提案が出てくるようになりました。

任せたこと①:朝いちばんの「秘書業務」

毎朝、AIがメールと会議の議事録に目を通し、その日の予定と、判断が必要なことをまとめてくれます。

ポイントは、予定を並べるだけではないこと。

・会議があるなら、その前に資料を確認する時間
・人に期限つきで頼んだことがあれば、その数日前に声をかける時間
・工場間の移動時間

こうした「逆算の時間」までカレンダーに入れてもらうようにしました。自分でやると、まずやりません(笑)

任せたこと②:横展開の「抜け」チェック

冒頭の弱点です。

ある工場で決まったことは他の工場へ。自分の管轄で決まったことは、関係する他部門へ。経営陣と決めたことは、必要に応じて部下へ。

この流れをルールとしてAIに覚えさせ、毎朝「これ、まだ他の工場に伝えていませんよね」と指摘してもらっています。

実際、上から「部下全員から集めて」と頼まれた件で、送ったメールの宛先から3人抜けていたことがありました。人が見ても気づかなかったものを、宛先と対象者のリストを照らし合わせることで見つけてくれた。これは本当に助かりました。

任せたこと③:「業務報告」の一言で記録が残る

チャットの頭に「業務報告」と書いて、今日やったこと・決めたことを話すだけで、AIが案件ごとに記録してくれます。

これが地味に効いています。1か月もすると、「あの件、いつ誰と何を決めたっけ?」がすぐに引けるようになりました。次の本部長への引き継ぎ資料も、この記録から育てています。

うまくいかなかったこと

もちろん、全部が順調だったわけではありません。

・会議の議事録の文字起こしで、名前がとんでもない誤変換になる
・近くで話していた別の人の会話が議事録に混ざる
・使いすぎてAIの利用上限に達し、朝の報告が止まる日がある

なので、名前が分からない人は推測で記録させず必ず確認させる、上限に達したときは別のAIが同じ手順で代わりに動く、といったルールを一つずつ足していきました。

ちなみに今は2つのAIを使っていて、それぞれにキャラクターと名前をつけています。考える参謀役と、手を動かす実務役。名前をつけると不思議と愛着がわいて、毎朝の確認が楽しくなりました。

それでも、まだ部下には広げていない

ここまで便利だと、「部下にも使わせればいいのに」と思われるかもしれません。

でも正直、まだ怖いんです。

情報をどこまでAIに渡していいのか。会社のルールとして問題はないのか。使い方を間違えたとき、誰が責任を取るのか。まずは自分が1年かけて試し、安全だと確かめてから広げる。そう決めています。

部下に新しいやり方を押しつける前に、まず自分で失敗しておく。これは、AIに限らずマネジメント全般で大事にしていることでもあります。

まとめ

AIを右腕にしてみて分かったのは、AIは「優秀な部下」と同じ扱い方をすると力を発揮する、ということでした。

✅ 作業より先に目的を伝える
✅ 自分の弱点を正直に伝えて、そこを補ってもらう
✅ うまくいかなかったら、ルールを一つずつ足していく
✅ 広げるのは、自分で試して確かめてから

次回のAI回では、「議事録から抜け漏れをなくす仕組み」をもう少し具体的に書いてみます。

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